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2016-04

小さな名店

横浜のにぎわい座へ落語会を聞きに行ってきました。

土曜日なので始まりが早く17時開演で、終わったのが19時過ぎ。
何かを食べて帰りたい時間です。

にぎわい座は、桜木町駅からほど近い「野毛」というエリアにあります。
そして、野毛の一角に、「だるま寿司」という寿司屋があります。

横浜で仕事していた10年ほど前、仲間3人で突入したことがありました。

「あそこの寿司屋」
「あるよねえ」
「入ったことある?」
「ない」
「行ってみる?」
「行こう行こう」

てな感じで、桜木町界隈をよく歩く人ならみんな知ってる。店はとても小さいのに、とても目立つ。そんな寿司屋です。


なぜなら、佇まいがこんなだから。なお、これは10年前の様子。

20160430darumamukashi.jpg

建物というよりも、駐車場の一角にぽつんと置かれたような「だるま寿司」。

にぎわい座を出て、だるま寿司のことが気になりながらも、なんとなく、一人で入るのも気がひける感じがして、関内の方向へ食事場所を求めて歩いたのですが、歩きながらも、だるま寿司のことを考えていました。

前に行ったのが10年ぐらい前。その時にすでに親父さんは、そこそこの親父さんだった。すると今、親父さんいくつだ?と気になり始め、横浜へ来ることなんてそう頻繁にはないし、なんだか、今行かないと後悔するような気がしてきて、桜木町へ戻ります。

やってました。

20160430daruma.jpg

20160430daruma2.jpg

期せずして10年前とほぼ同じアングルの写真。後ろにビルが建ったので、「ぽつん」感はだいぶ薄れたようです。

親父さんはお元気でした。
「明日っから休みだからさあ、ごはんあんまりないけどいい?」

構いません。この店に来たかったんですから。
席の数はカウンターと椅子を合わせて、たぶん11か12。常連さんたちに混ぜてもらって、おまかせでつまみを作ってもらいます。

20160430tsumami.jpg

寿司について、どうのこうの語れる舌は持ってませんが、うまい・まずいは分かります。
しみじみと「うまいなあ…」と思えるぐらい、間違いなくうまいです。まぐろとこはだ、うまかったなあ。

常連さんたちもいて賑やかだったので、あまりたくさん親父さんと話せなかったけど、10年前に来たという話をして、「その時も既にだいぶ親父さんだったけど、失礼ながら…」と聞いてみると、

若干恥ずかしそうに「えーっ…もう85だよ」って。えーーーーっ。動きも喋りも到底そんなお年には見えません。そして、その驚きの年齢を、誇らしげではなく、ちょっと言いにくそうにして言うってところに粋を感じます。

「生もの扱うからさあ、危ないじゃん。店、閉めることも考えてはいるんだけどさ」

そんな言葉を聞いて、私が生まれる前からずっと寿司を握ってきて、そろそろ引き際を考えている親父さんに対して、「そんなことおっしゃらずに」とか「長く続けて」なんて言葉を軽々しくかけることもできず、なんだか言葉が出ませんでした。

締めに、残りのごはんを振り絞って、かっぱ巻きをやってもらいます。親父さんの作ってくれたかっぱ巻き、うまい。


ハワイに住んでいて、お父さんの介護のために時々日本に帰ってきて、そのたびに寄らせてもらうのだという常連のお姉さんが帰り、私一人。もともとあんまり遅くまでやってる店ではありません。私も、写真を1枚撮らせてもらっておいとまします。

20160430denwachin.jpg

黒電話と、その下に置かれているのは、電話賃を入れる箱。いつまで使われていたんだろう。携帯なんかなかった時代の遺物です。

「また寄らせてもらいます」と言って、暖簾をくぐらず、裏口から。裏口を出ると、そこには仮設トイレがあるのです。

いい時間を過ごしました。横浜へ行く機会はなかなか廻ってこないけど、また次回、きっと来ます。

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韓国語と中国語の翻訳をやってます。

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