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2016-10

昭和歌謡

今日、スーパーの店内放送で、チェッカーズの「涙のリクエスト」を、元気のいい女の子たちがカバーしているのを聞きました。
うちに帰って調べてみると、どうやら、カントリーガールズというらしいですね。

嗣永桃子(ももち。ああ見えて、けっこうできる子)をリーダーに、あとは、14歳から18歳のむすめっ子たち6人組らしい。

「涙のリクエスト」が大ヒットしたのは、私が小学生高学年の頃でした。

最後のコインに祈りを込めてmidnight DJ
ダイヤル回す あの子に伝えてまだ好きだよと


という、まあ我々世代は誰でも口ずさめる、おなじみの歌詞ですが、たったこれだけでも、むすめっ子たちがどれほど理解して歌っているのか?というのが気になりました。

まず、この歌詞の中に明示されていないけれども、この時代には当然であった「大前提」として、

深夜放送のラジオ番組に、曲をリクエストするための媒体が「電話」。
当時、FAXでさえ一般家庭にはなく、ラジオ局では受付オペレーターをずらり揃えて、リスナーの電話を受け付けていました。

そして使うのは、最後のコイン。
→携帯電話なんてありません。公衆電話からかけるのです。そして、テレホンカードは存在せず、使うのはもっぱら10円玉でした。なお、100円玉を入れると、おつりがでません。

さらに、ダイヤル回す。
→公衆電話でも、ダイヤル式が主流でした。ちょっと前に、小学生ぐらいの男の子が、ダイヤル式ピンク電話の数字を押してかけようとしているのを見たことがありますが、今ではそのぐらいダイヤル回しません。

その後に続く、「トランジスタのヴォリューム上げて」も、文脈としては「うどんの白飯を炊いて」ぐらい奇妙なのですが、これは「トランジスタラジオのヴォリュームを上げて」の略なので、良しとします。


流行歌というのは、その時代の一部分を切り取り、それを背景として感情を描くものだからこそ、人々が共感して流行歌たりえる訳ですが、たった8小節の間に、今のむすめっ子は知る由もない要素が、ふんだんに盛り込まれている「涙のリクエスト」は、やはり大したもんです。

そのほか、今、ふと気づくと、あれ?と思う曲として、小林明子「恋におちて」なんてのもあります。

土曜の夜と日曜の
貴方がいつも欲しいから

→土曜は昼まで仕事する「半ドン」が一般的だったので、土日まるまるもらっちゃう訳にいかなかったのです。

それから、かなり好きなのが、ちあきなおみの「喝采」。
この世界は、さすがに私の子どもの頃の東京近郊には存在しませんでしたが、福島あたりまで行けばまだありました。

あれは三年前 止めるあなた駅に残し
動きはじめた汽車に ひとり飛び乗った

→動き始めた汽車に飛び乗れたんですな。

今は「旧型客車」と言ったりしますが、昔の、機関車に引っ張られて走る客車のドアは手動で、施錠されませんでした。ガチャンと閉めれば閉まるけど、閉めなければ、走っている最中だって開けっ放し(参考写真)なので、止めるあなたを駅に残して飛び乗れたのです。

「喝采」が発表された1972年当時は、こういう客車が、誰もが当たり前に思い浮かべられる存在だったってことなんでしょう。

とまあ、そんな話で。
今は当たり前のことであっても、30年後の人々には想像もつかないことってあるんだろうね。

上司「昔はバリウムっての飲んで、ぐるぐる回されたもんだ」
部下「いや、なんすか、それ。マジ無理っす」

みたいな会話があったりして。
まあ、こんなのは歌にはなりませんが。

やれやれ、おしまいです。

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韓国語と中国語の翻訳をやってます。

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