栃尾温泉(1)
どうも旅日記ばかり書いているようだが、このたびは、奥飛騨の山奥にある栃尾温泉というところに行ってきた。
今年は、年末年始の休み29日から6日まで9連休となっていて、正月2日の夜のこと。三が日が終わってもまだあと3日も休みがあることに気づいた。そんなに長いこと家にいても、することないぞ。困ったなあ…というわけで。妻は寒い所が大の苦手なので、また今回も気楽な一人旅である。私は寒いところが大好きだ。北国の冬の、冷たい空気を浴びると、気持ちがシャキっと引き締まる感じがする。逆に、東京の冬は寒い。
松本までの高速バスの切符と、栃尾温泉の宿を予約してあって、帰りは富山からの夜行列車「能登号」に乗ってくるので、その切符もとっておいた。あとは現地での成り行き次第。
新宿から高速バスで松本へ到着。何年か前、松本でたまたま入った回転寿司屋が美味かった(特にえんがわ)ので、そこで昼食をと考えていたのだが、残念なことに店はなくなっていた。ではせっかく信州へ来たのだからと、そばを食べたら期待に違わずうまかった。
松本からは、まず平湯温泉というところまで登る。松本から1時間半、着いたところはすっかり雪の中だった。

平湯温泉バスターミナルに到着。
平湯の町を歩いたり、お土産屋を覗いたりしながら40分ほど待って、別のバスに乗ること約20分。「栃尾診療所前」というおよそ地元の人しか降りないようなバス停で降りると、予約してあった宿まで歩いて2分。
宿のおばさんの説明。「お風呂は、内風呂がこっちにあって、露天風呂はその道を渡ったところで。夜は…ちょっと寒いけど10時ごろまで入れると思います…」とのこと。「思います…」という微妙な言い方に釈然としないものを感じながら、荷物を部屋に置いて、散歩に出る。もう時間は4時前。早くしないと、山かげに日が沈んでしまう。

宿の前の道。こういうところを一人で歩くのは楽しい。
栃尾の集落を歩いてみると、東西に歩いて10分ぐらいの範囲がすべてで、郵便局、信用金庫、酒屋、民宿と飲み屋がちらほらとあるという具合だった。酒屋がいつ閉まってしまうかわからないので、今のうちに今夜部屋で食べるものなんかを調達する。
そして、宿で「10時ごろまで入れると思います…」と聞かされた露天風呂へ。実際に見てみて、その言葉の意味を理解した。管理人がいるわけではなく、野菜の無人販売みたいな箱に200円を入れる。その先に、屋根のついた脱衣場があり、風呂がある。お湯はいつでも勝手に湧いているし、鍵なんかないので、夜だって入ろうと思えば入れる。でもやはり危険なので「夜十時より立入禁止」という看板が立っている。おばさんが言っていたのは、こういうことだったのだ。

露天風呂「荒神の湯」入口

雪を踏みしめ入ってゆくと、

こんな眺めの風呂がある。
さて、夜。露天風呂に浸かる。先客は数人の若者グループ。川の対岸、月明かりに照らされて、うっすらと雪をかぶった山が見えている。お湯は熱くなく、ぬるくもなく、とても気持ちがよかった。
風呂の後、道を挟んだ向かいの店で「飛騨牛陶板焼定食」に飛騨の地酒をつけてもらって、夕食とした。酒は「久寿玉(くすだま)」という酒だそうだ。
店のおじさんの話によれば、昔はスキー場もあって冬場は賑やかだったのだが、雪がすくなくて閉鎖されてしまい、今は、さびれた民宿街になってしまったのだとのこと。お湯は勝手に湧いているが、それだけでは客は来ないと。
栃尾は標高約800メートル。さっきバスを乗り換えてきた平湯は約1300メートル。たしかに平湯には温泉街にも雪がたっぷりあって、スキー場も営業していた。栃尾からバスで20分ぐらいの新穂高温泉からはロープウェイで2000メートル以上の山の上まで上ることができる。栃尾はその間にあって、どうにも中途半端なのだ。しかし、「何もないが、いい風呂ならあるぞ。あとは自由にやれ」とでも言われているようで、栃尾が私は気に入った。
おじさんは、昔は新穂高温泉で民宿をやってたそうで、明日行ってみようと思うがどうか、という話をしてみたら、栃尾で晴れてても山は荒れていることもある。宿のテレビの5チャンネルで、山の上の定点カメラの映像を一日中流しているから、朝それを見て天気がよければ行ってみるといいと教えてくれた。
現地での遊び方は、現地で人に聞くに限る。明日は、おじさんのいう通り、朝、5チャンネルを見てみて、それしだいでロープウェイに行くか、9時半のバスで富山へ降りるか考えよう。
栃尾温泉(2)へつづく
今年は、年末年始の休み29日から6日まで9連休となっていて、正月2日の夜のこと。三が日が終わってもまだあと3日も休みがあることに気づいた。そんなに長いこと家にいても、することないぞ。困ったなあ…というわけで。妻は寒い所が大の苦手なので、また今回も気楽な一人旅である。私は寒いところが大好きだ。北国の冬の、冷たい空気を浴びると、気持ちがシャキっと引き締まる感じがする。逆に、東京の冬は寒い。
松本までの高速バスの切符と、栃尾温泉の宿を予約してあって、帰りは富山からの夜行列車「能登号」に乗ってくるので、その切符もとっておいた。あとは現地での成り行き次第。
新宿から高速バスで松本へ到着。何年か前、松本でたまたま入った回転寿司屋が美味かった(特にえんがわ)ので、そこで昼食をと考えていたのだが、残念なことに店はなくなっていた。ではせっかく信州へ来たのだからと、そばを食べたら期待に違わずうまかった。
松本からは、まず平湯温泉というところまで登る。松本から1時間半、着いたところはすっかり雪の中だった。

平湯温泉バスターミナルに到着。
平湯の町を歩いたり、お土産屋を覗いたりしながら40分ほど待って、別のバスに乗ること約20分。「栃尾診療所前」というおよそ地元の人しか降りないようなバス停で降りると、予約してあった宿まで歩いて2分。
宿のおばさんの説明。「お風呂は、内風呂がこっちにあって、露天風呂はその道を渡ったところで。夜は…ちょっと寒いけど10時ごろまで入れると思います…」とのこと。「思います…」という微妙な言い方に釈然としないものを感じながら、荷物を部屋に置いて、散歩に出る。もう時間は4時前。早くしないと、山かげに日が沈んでしまう。

宿の前の道。こういうところを一人で歩くのは楽しい。
栃尾の集落を歩いてみると、東西に歩いて10分ぐらいの範囲がすべてで、郵便局、信用金庫、酒屋、民宿と飲み屋がちらほらとあるという具合だった。酒屋がいつ閉まってしまうかわからないので、今のうちに今夜部屋で食べるものなんかを調達する。
そして、宿で「10時ごろまで入れると思います…」と聞かされた露天風呂へ。実際に見てみて、その言葉の意味を理解した。管理人がいるわけではなく、野菜の無人販売みたいな箱に200円を入れる。その先に、屋根のついた脱衣場があり、風呂がある。お湯はいつでも勝手に湧いているし、鍵なんかないので、夜だって入ろうと思えば入れる。でもやはり危険なので「夜十時より立入禁止」という看板が立っている。おばさんが言っていたのは、こういうことだったのだ。

露天風呂「荒神の湯」入口

雪を踏みしめ入ってゆくと、

こんな眺めの風呂がある。
さて、夜。露天風呂に浸かる。先客は数人の若者グループ。川の対岸、月明かりに照らされて、うっすらと雪をかぶった山が見えている。お湯は熱くなく、ぬるくもなく、とても気持ちがよかった。
風呂の後、道を挟んだ向かいの店で「飛騨牛陶板焼定食」に飛騨の地酒をつけてもらって、夕食とした。酒は「久寿玉(くすだま)」という酒だそうだ。
店のおじさんの話によれば、昔はスキー場もあって冬場は賑やかだったのだが、雪がすくなくて閉鎖されてしまい、今は、さびれた民宿街になってしまったのだとのこと。お湯は勝手に湧いているが、それだけでは客は来ないと。
栃尾は標高約800メートル。さっきバスを乗り換えてきた平湯は約1300メートル。たしかに平湯には温泉街にも雪がたっぷりあって、スキー場も営業していた。栃尾からバスで20分ぐらいの新穂高温泉からはロープウェイで2000メートル以上の山の上まで上ることができる。栃尾はその間にあって、どうにも中途半端なのだ。しかし、「何もないが、いい風呂ならあるぞ。あとは自由にやれ」とでも言われているようで、栃尾が私は気に入った。
おじさんは、昔は新穂高温泉で民宿をやってたそうで、明日行ってみようと思うがどうか、という話をしてみたら、栃尾で晴れてても山は荒れていることもある。宿のテレビの5チャンネルで、山の上の定点カメラの映像を一日中流しているから、朝それを見て天気がよければ行ってみるといいと教えてくれた。
現地での遊び方は、現地で人に聞くに限る。明日は、おじさんのいう通り、朝、5チャンネルを見てみて、それしだいでロープウェイに行くか、9時半のバスで富山へ降りるか考えよう。
栃尾温泉(2)へつづく

