2008-11

ぷらっと秩父(2)

 運転手は制服の上着を座席にかけ、制帽を脇に置いて、全く普段着である。頭は短髪で、バスの運転手というよりも運送屋の兄ちゃんのようだ。

20070325untenseki.jpg
散らかった運転席。運賃表は懐かしい巻き取り式。

 秩父湖を出ると、まずトンネルに入るのだが、車1台分の幅しかなくて、トンネルの中で道が分岐している。そのため、三方に信号機を設けて、トンネル内で車が鉢合わせしないようにしているという、変わったトンネルである。そのトンネルを兄ちゃんはものすごい勢いで飛ばす。
 その後の集落の中も勢いよく飛ばし、定刻通り14分かかって栃本関所跡に着いた。その走りで定刻というのはいかがなものかと思うが。

 バスを降りると、道っ端に関所跡はあった。中山道と甲州街道を結ぶ秩父往還の関所である。ここで関東への「入り鉄砲」と、甲州への「出女」と防いだという、国の史跡である。
 とはいえ、別に資料館みたいになっているわけでもなく、ただ建物があるというだけ。本当に「跡」であった。

20070325sekisyo.jpg
本当に建物が残っているだけの「栃本関所跡」。なおかつ入口には鎖がかかっている。

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後ろを見るとこんな景色。斜面にへばりついて人々が暮らしている。

 さて、ちょっと予想はついていたが、関所跡見学はあっけなく終了。帰りのバスがないのはわかっている。タクシーなんてこんな所を通るはずはない。というより、山の上に山梨へ抜けるバイパスができたせいで、こっちの道は車がほぼ通らない。バスで関所跡まで来る間も1台もすれ違わなかった。

 それでは…と、今バスで来た道を歩く。ひたすら歩く。

 いちおう今も国道なので、道路わきに距離標が立っている。どこが起点としているのかわからないが、歩き出した時点で9.2km。その数字が減っていくのを数えながら歩いているものの、秩父湖までは…、たぶん約5キロ…ぐらいだったはず…という具合で、正確な距離を知らない。結果的に何キロ歩いたかわかるというだけの指標である。16時05分のバスには間に合わなければならないし、大変不安である。ひとまず誰も通らないことだし、歌を歌いながら歩いたりした。

 4キロほど歩いたところで前方に秩父湖の湖面が見えた。と言ってもダム湖というのは複雑な形になっているので実はまだまだなのかも知れない。やがて、湖面近くまで下りてきて、さっきトンネルを抜けたところで見た駐車帯に到達。やっと安心できた。

 とにかく急いで歩いてきたために、約5キロの距離を1時間で踏破してしまった。なんと1キロを12分で歩いたことになる。バスの時間までは20分ほど余裕があるので、ダムの写真を撮ったり、お土産屋さんの犬と遊んだりして時間をすごす。

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秩父湖の水を支える二瀬ダム。

(3)へつづく。

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